無題ドキュメント

太極拳の創始者と言われてる陳王廷（１６００年～１６８０年）は明末清初の人であり、明の官僚でした。ところが明は１６４４年に李自成の攻撃を受けて滅亡し、さらに李自成軍も清におわれてしまいました。陳王廷は明の滅亡以前に、自分の出身地である河南省温県に帰って郷里の子弟達に武術を教えはじめました。
陳王廷は、拳法と、導引法という道家の伝える健身法、そして経絡学説を中心とする医学を結びつけました。陳王廷にて考案され、長年にわたり改良された拳法（徒手武術）・槍法・剣法・刀法その他の武術体系は４００年間代々にわたって受け継がれました。
この太極拳は気勢が強くて烈しく、多くの跳躍、震脚、発勁の動作が入っており、陳式太極拳として今でも引き継がれています。のちに陳式太極拳を学んだ楊露禅は、太極拳を社会の需要に応じさせようと、徐々に烈しさや跳躍動作を改め平穏柔和で連貫円滑なものに変え、楊式太極拳として広めていきました。
これが現在高い医療価値と芸術的価値を持ったスポーツとして全国的に広まっている太極拳の原型です。

太極拳の動作は、呼吸の早さにあわせて全身を、自然に無理せずゆっくりと動かします。雑念を払い静かに複雑な技を繰り返し学ぶので、大脳を刺激します。
根気よく学んでいるうちに、足腰が丈夫になり集中力が増してきます。つまり、知らず知らずに健康とボケ防止になるのです。体（頭脳、筋肉）は使えば活性化しますが、使わなければ退化あるのみです。適当な運動（刺激）が、体全体に良い結果を見出します。
独特のゆったりとした動作で、癒し効果やリラックス効果も得られ、日本でも人気の高い武術となっています。また、演武されるということからも分かるように、芸術性も兼ね備えています。
練習後の気持ちよい疲れと中国伝統の武術を学ぶという特別な優越感は、現在社会のストレスを解消し、充実感、爽快感を得ることが出来ます。心身の健康と美を維持し、楽しいひと時を過ごしましょう。

はじめは次の５つのことに留意します。

① 立身中正
動作を行うときは、常に上体をまっすぐにして傾かないことに注意を払います

② 位式集中
太極拳を練習するときに他のことを考えないで集中すること。
これは何事を学ぶにも要求されることです

③ リラックス
太極拳では重要な要素になります。太極拳用語では「放松」（ファンソン）と言います。腰、肩、肘などのあらゆる関節部位の力をゆるめ全身をリラックスさせて行うことです。ただし、意識は気を導き、けっして萎えてはいけません。

④ 虚実分明
初心者は歩法で理解してください。両足のうち、重心の乗っている方を「実」とし、その反対を「虚」とします。虚実の転換、すなわち重心の移動はゆっくり、おだやかにしてください。

⑤ 自然呼吸
呼吸は大事な要素ですが、大切なのは自然な呼吸・無理のない呼吸ようするに、普段のままの呼吸と考えてください。複式呼吸／拳勢呼吸は自然身に付いてくるものです。

① 動作の規格
動作を正しく身に付けるよう心がけます。

② 協調一致
ずべての動作が一致すること。上下／左右／内外の協調

③ 動作の完整
ここの動きを掌握し、整える。動作原理／拳法理論などを理解し、意識・呼吸・頭・目・手・腕・脚などの動きが一致すること。

④ 連貫
個々の動作の繋がりは、スムーズに連綿とつらぬく。

他にもたくさんのポイントはありますが、焦らずゆっくり学びながら発見していくことが秘訣といえましょう。
太極拳は「おどり」ではなく「武術」の一つの表現ですから、一つ一つの動作には「攻防の技」が表現されています。その「拳法理論」を理解して動きを研究してみてください。打つ、蹴る、投げる、掴むの４つの動作に代表されます。しかし、健康法としての太極拳を学ぶ上には、これらを頭において、ゆったりとおだやかに表現しましょう。太極拳は技芸の一つとされ、終局は芸術であるとされます。「舞い」に共通する芸術性をも要求されます。

１．仙人の不老長生の秘法・導引術です。
何百年も老いることなく人生をエンジョイしたという仙人は、中国人が憧れた不老長寿のスーパー・ヒーロー。仙人は、様々な秘術を持っていましたが、導引術は仙人が若さを保つための健康体操です。太極拳は、この導引術が起点になってできたのです。つまり、太極拳は「若返りの秘法」そのものだということ。

２．太極拳の爽快感を体験してください。
太極拳の後の爽快感は格別、体に精気が巡り疲労感を取り去り軽やかさが戻ってきます。原因不明の現代病は、過重なストレスが起因するといわれます。様々な精神的ストレスを解消し、精神バランスを整えるのも太極拳の効果です。太極拳のもたらす真のリラクゼーションが、頑固な肩こりも取り去ってくれます。

３．太極拳は、気功治療の効果があります。
中国では、医者にも薬にも見放された重病人が最後に頼るのが太極拳でした。最近医療気功が注目を集めておりますが、太極拳はその気功治療とまったく同じ効果があります。特に、循環呼吸器系、消化器系、自律神経系に効果を発揮し、五臓六腑全体の機能を高めます。これは太極拳が身に分布するツボを適度に刺激し、気の通路である経絡の循環を理想的にするからです。

４．太極拳はからだの中から健康的に美しく変えてくれます。
緩やかな円運動は、体内の生体バランスを理想的に整える効果があります。生体バランスが整うと、体内の毒素が排泄されると同時に余分な脂肪も排泄されていきます。本来あるべきバランスのとれた健康的な身体に変わっていきます。
また、毒素が排泄されると全身の肌がきめ細やかさと弾力に富んだつややかさを取り戻します。

５．太極拳は護身術
空手や少林拳など筋力で戦う拳法を「剛拳」といいますが、太極拳・形意拳・八卦掌は「柔拳」といい、生体エネルギーである「気」で戦う拳法です。柔拳は筋力に頼らないため、筋力・体力の劣る女性や高齢者にも役に立つ拳法です。「柔よく剛を制す」とは、太極拳の攻防一体の妙技そのものです。
護身術の精神と知恵を持つことは、社会的トラブルを事前にキャッチする感を養うことにもなります。